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熊ゼミNEWS「共通テスト」結果分析と受験校の選び方

熊ゼミNEWS 2025.12.02

中学3年生『共通テスト結果分析と受験校の選び方』

 

受験校決定のカギを握る『共通テスト』


中高一貫校を除く,熊本県内のほとんどの中学3年生が受験する『共通テスト』。今年も,10月28,29日に実施されました。以前は,9月に第1回,11月に第2回と,年2回実施されていた『共通テスト』ですが,新型コロナウイルス感染症の流行が本格化した2020年からは1回のみの実施となり,さらに実施の時期も10月末に変更されています。熊本においては,以前から受験校を決める上で重要なテストと言われてきたのですが,すでに受験校決定に向けた三者面談(教育相談)が始まっている中学校もあり,受験校選びに不安を感じている中学3年生も少なくないと思います。今回の熊ゼミNEWSでは,この『共通テスト』の結果分析をもとに,これから受験校を決定する皆さんへ,できるだけ正確な情報をお伝えするとともに,入試本番に向けた心構えと準備しておきたいことについてお話ししたいと思います。

まずは,皆さんが一番気になる,今回の『共通テスト』の結果から見てみましょう。熊ゼミが集計した熊本市内の平均点は以下の通りです。

熊ゼミの調べでは,5教科合計の平均点は約111点で,前年と比較すると1点下がる結果となりました。教科ごとに見ると,社会の平均点が18.8点と過去最も低い点数となっているのが目立ちます。数学・英語の平均点も20点台前半と低めですが,これは公立高校後期選抜でも見られる,ここ数年の傾向です。

では,教科ごとに見てみましょう。まず,平均点が大きく下がった社会についてですが,公立高校後期選抜でも見られる「両解問題」が多いのが近年の特徴です。いわゆる一問一答的な知識の暗記だけではなく,それと関連する事項を合わせて問う出題が増えているのです。また,グラフや資料を利用した出題が増えているのも近年の特徴ですが,今年に関しては,つながりや関係性を知っていることを前提として答えさせる問題に苦戦した人も多かったようです。「社会は暗記教科だから」と言って,知識の暗記だけに頼っていては,高得点は厳しい内容だったと思われます。

次に,数学についてですが,基本的な問題構成は変わっていません。ここ数年の傾向として,正解にたどり着くまでに時間がかかる問題が多いことが挙げられます。特に,大問4の「確率」,大問5の「空間図形」については,条件を整理し,筋道立てて考えることができるかどうかで,得点の差がついたのではないでしょうか。考え方はなんとなくわかっていても,ある程度難易度の高い問題で,やや複雑な計算問題まで練習している経験がなければ,なかなか答えまでたどりつけなかったという人も多かったと思います。

次に英語ですが,こちらも基本的な問題構成は変わっていません。公立高校の後期選抜と比べると,大問2の「語形変化」や大問3の「語彙に関する問題」のような基本的な問題も多いのが特徴です。大問5の問題は,令和5年度までは長文読解問題が出題されていましたが,昨年から対話文とグラフ資料を組み合わせた問題となっています。処理しなければならない情報量が増えていますが,難易度は昨年ほどではなく,中学校などで昨年の問題を解いてみた人の中には,若干取り組みやすいと感じた人も多かったのではないでしょうか。英作文も,現在完了やIt is … to ~構文の定番的なもので,昨年より平均点が若干上がる要因の一つになったと考えられます。

残る2教科についてですが,理科については,社会と同様に「両解問題」が多いのが特徴です。単純に事象の名称を問うだけでなく,その要因や影響も合わせて問う出題が増えています。もともと苦手とする人も多い計算を必要とする出題,作図問題もありますが,個々の難易度は数学・英語ほど高くなかったため,平均点は若干のアップとなったようです。国語についても,解答を作るのに苦労する問題も多い公立高校の後期選抜とは違い,共通テストでは比較的解答を作りやすい=取り組みやすい問題も出題されます。そうした取り組みやすい問題が昨年よりやや多かった分,平均点が上がる結果となったようです。

 

受験校選びとこれからの勉強


すでに志望校調査を中学校に提出している中学3年生も多いと思います。これをもとに中学校での三者面談(教育相談)が行われるわけですが,面談の席で希望した受験校は厳しいと言われた人,面談を前にして「第一志望校を受験するか,それとも変更するか」「併願する高校をどこにするか」など,悩んでいる人も多いと思います。特に公立高校の普通科(普通コース)が第一志望である場合,前期選抜が実施されず,後期選抜1度きりのチャレンジで合否が決まってしまうため,慎重にならざるを得ないというのが正直なところでしょう。併願する私立高校についても,受験者が多く,競争倍率も高い場合,逆に公立高校よりも難しくなってしまうこともあります。さらに,(まだ正式決定してはいませんが)現在検討されている「私立高校の授業料無償化」が決定された場合,私立高校の受験者が大きく増える可能性もあります。そして,行きたいと思う高校はあっても,自分の成績を考えると,どうしても自信が…,という人も少なくないでしょう。

さて,ここで確認しておきたいことがあります。

 ①志望校に対する,現時点での自分の位置がわかっているか。

 ②現時点での自分の位置は,これまで,できる限りの勉強をした上でのものなのか。

 ③志望校に合格するためには,何が課題で,どういった勉強が必要かわかっているか。

 ④上記の③の勉強をやり遂げる自信があるか。

まず,①についての答えが「わからない」まま,受験校について悩んでいるのであれば,それは論外です。たとえば,皆さんが友だちと会う約束をしていて,歩いて待ち合わせ場所に向かっているとします。「約束の時間に間に合うかな?」と思ったときに,皆さんはまずどうしますか?

当然,まず時計を見るはずです。そして,今いる場所を考えた上で,このままのペースで間に合うかどうかを考えるでしょう。今のペースでは時間ギリギリになりそうというときには,歩くペースを少し速くしたり,このままでは絶対に間に合わないというときには,走ったり,バスに乗ったりするという方法だって考えられます。

受験生の皆さんにとって,「志望校に合格すること」が先にあげた友だちとの約束だとすれば,約束の時間は入試の日にあたり,今からどうやって約束の場所まで行くのかが,「これからすべき勉強」にあたるのです。①について,ここでは皆さんが先日受験した『共通テスト』の点数で見ていきますが,あくまでも1回きりのテスト結果です。「ちょっと失敗した」「もうちょっと得点できた」と,結果に納得がいかないという人もいると思います。今後も受験できる模試などを利用して,常に現時点での自分の力を知っておくことが,まず重要だと覚えておいてください。

その上で,②と➂について考えてみましょう。例を挙げたほうがわかりやすいので,第二高校普通科が第一志望のAくんがいるとします。『共通テスト』の得点は,苦手な数学が20点,他の科目がそれぞれ30点で,合計140点だとしましょう。現時点では,目標とする第二高校普通科の合格ラインには,15点近く足りません。これまで,精一杯努力してきての結果であれば,これからさらに上げるのは難しいかもしれません。ただ,「数学は苦手だから」「数学は嫌いだから」と正面から取り組んでこなかったのであれば,まだまだできることがあると思います。そもそも基本的なところから理解できていなかったから得点できなかったのか。それとも,基本はある程度わかっているつもりだったけど,練習を怠っていたから解けなかったのか。一次関数でまったく得点できていなかったのであれば,一次関数の基本的な応用問題を練習するだけでも,1点,2点上げることは可能です。失点していた問題の中から,同様にして,練習することで得点できる部分を見つけるすることで,「克服すべき課題」がはっきりしてきます。「課題」が見えてきたら,それを克服,解消するための「練習メニュー」を考えましょう。一度きちんと整理すればOKというものもあるかもしれませんが,ほとんどの場合,ある程度継続して練習する必要があるものの方が多いと思います。なぜなら,目的は「入試本番でも得点できる」ようにすることだからです。中学校を通して購入した受験用教材や市販の問題集,塾の教材など,持っている教材の問題を,毎日15分~20分かけて練習する時間を作り,1週間から2週間かけて練習を積むような計画を立てると効果があるでしょう。これは数学に限らず,他の科目も同じです。

 

 高校別合否ライン予想


今年の『共通テスト』結果をもとにした,主な公立高校の合格ラインは以下の通りです。熊ゼミが共催する「県模試」のデータをもとに算出した,合格可能性60%のラインになります。

『共通テスト』での自分の得点と上記の点数との差が,先ほど述べた①の答えであり,それを縮めていくための勉強が③の答えになります。志望校との差が大きかったという人もいるかもしれません。ここで大切になるのは②の答えです。勉強はしているつもりでも,得意教科中心で苦手教科は避けがちで…という人は,もっとメリハリをつけた勉強が必要でしょう。先ほど述べたように,苦手な教科は,毎日時間をとってでも,苦手単元を確実につぶしていく…。そうした勉強を,今までやってきた勉強の中に取り入れていくことで,もっと得点を伸ばせるかもしれません。また,中3学習内容で苦手なところがあるという人は,模試の結果などをもとに,同じように振り返ってみてください。これからの3か月ちょっと,毎日毎日,判を押したようにコツコツと練習を積んでいく…,地味に思えるかもしれませんが,この「継続」こそが合格への近道なのです。

 

 さあ,いよいよ受験校の決定!


「本音を言うと,『共通テスト』の結果で受験校を決めることには抵抗があって納得できない」という人もいるでしょう。「簡単にあきらめず,決めた目標に向けて努力する」ということは,これからの皆さんの人生を考えても非常に大切なことです。先ほど述べた①から④のことを踏まえた上で,第一志望となる受験校を決めなければなりません。しかし,同時に,これからは「併願校」選びも重要になります。公立高校を第一志望とする受験生が多い熊本では,多くの場合,併願校は私立高校ということになります。熊本市内の私立高校では,奨学生・専願生の入試が,年明けの1月21日(水)に行われます。その受験のための練習期間を考えると,併願する私立高校は冬休み前に決めておくのが一般的です(少なくとも,冬休み中から入試日までの約2~3週間は受験に備えた勉強期間として必要です)。併願校を絞り込む際のポイントとしては,「将来の進路(大学進学,就職など)」「通学手段・距離」「合格の可能性」,そして「通学にかかる費用」などがあげられます。将来,国公立大学への進学をめざしているのであれば,大学受験に強い学科やコースをもつ高校が良いでしょうし,私立大学を含めた進学を考えるのであれば,大学の付属高校や指定校推薦を多くもつ高校が有利になるでしょう。また,卒業後の就職を考えるのであれば,資格や技術を習得できる学科・コースをもつ高校が候補となります。皆さんにとって,高校は,社会に出ていくための「通過点」であり,「最終目標」ではありません。受験校選びで迷った時こそ,自分の将来を思い描きながら考えてみてはどうでしょうか。

「本当に行きたいのは私立高校だけど,私立はお金がかかるから…」と気にする人もいると思います。現在(2025年11月),政府与党を中心に検討されている「私立高校の授業料実質無償化」は,今年(2025年),公立高校と同額の月額9,900円まで所得制限なしに支給されている就学支援金を,月額38,000円程度まで引き上げるという内容になります。世帯年収が590万円未満の家庭には,月額33,000円までの支給がすでに行われていますが,この所得制限をなくした上で,さらに私立高校の全国平均授業料まで引き上げるという方針です。これまでも,奨学生として合格した人の中には,授業料全額免除などの特典を受けている人もいましたが,これが実現すれば,保護者の方の実質的な毎月の負担は,ほとんどの私立高校で7,000円~15,000円の範囲で収まることになります。「えっ! それじゃ,無償じゃないでしょ!」という人もいそうですが,実質無償化の対象はあくまでも「授業料」であって,すべての校納金がゼロになるわけではありません。これは公立高校も同様で,高校により名称や内訳は異なりますが,教育充実費や施設管理費,学年費やPTA費といった校納金があり,これを考えると,私立と公立の差はほとんどなくなることになります(※実際には,私立高校でも公立校でも,授業料を除いた校納金が,おおむね月額7,000円~15,000円程度は必要になります)。私立高校の中には,奨学生あるいは特待生の資格として,これらの校納金まで免除されるところ,奨学金という形で別に支給されるところもあります。募集要項やホームページに記載している高校も多いので,気になる学校はチェックしてみましょう。

※国の就学支援金制度の変更が正式決定されていないため,前年度の学費を参考として掲載している高校も多いようです。来年度の学費については,12月中にホームページで公表されるところもあるようですので,ときどきチェックしてみてください。

 

中3受験生の皆さんにとって,確かに『共通テスト』は受験校を決める上で重要なテストです。しかし,受験する高校に合格するかどうかがここで決まったわけではありません。では,どこで合否が決まるのか・・・ それは,これから入試本番までの皆さんの過ごし方で決まるのです。熊ゼミが共催する『県模試』を含め,12月や1月に実施される模試もあります。結果が良かったからと油断することなく,また,目標にちょっと届いていないからと言ってあきらめることなく,冬休みも含めた今からの1か月間,まず自分でやれるだけのことを目いっぱいやってみてもいいと思います。最終的に決断するのは,受験する皆さん自身です。悔いのない選択ができるよう努力してみましょう。

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