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2023年度『共通テスト結果分析と受験校の選び方』

お知らせ 2023.11.24

中学3年生『共通テスト結果分析と受験校の選び方』

 

受験校決定のカギを握る『共通テスト』


(中高一貫校を除く)熊本県内のほとんどの中学3年生が受験する『共通テスト』。今年も,10月24,25日に実施されました。以前は,9月に第1回,11月に第2回と,年2回実施されていましたが,新型コロナウイルス感染症の流行が本格化した2020年度からは11月の1回のみの実施となり,さらに昨年から実施の時期も10月末と1週間ほど早くなりました。熊本においては,以前から受験校を決める上で重要なテストと言われてきたのですが,早いところでは11月下旬から受験校決定に向けた三者面談(教育相談)が始まる中学校もあり,受験校選びに不安を感じている受験生の皆さんも少なくないと思います。今回の熊ゼミNEWSでは,この『共通テスト』の結果分析をもとに,これから受験校を決定する中学3年生の皆さんへ,できるだけ正確な情報をお伝えするとともに,入試本番に向けた心構えと準備しておきたいことについてお話ししたいと思います。

まずは,皆さんが一番気になる,今回の『共通テスト』の結果から見てみましょう。熊ゼミが集計した今回の平均点は以下の通りです。

2023年度共通テスト予想平均点

熊ゼミの調べでは,熊本市内5教科合計の平均点は約118点で,前年と比較すると,約7点アップする結果となりました。教科ごとに見ると,数学の平均点が19.7点と大きく下がったほか,英語の平均点が前年より4点上がったものの21.2点と,近年の公立高校後期選抜の傾向を反映してか,低い平均点となりました。他教科では前年比およそ1~2点のアップと,ほぼ25点前後の平均点となりました。

教科ごとに見てみましょう。まず,数学について,問題の基本的な構成は変わっていませんが,前年に比べ,正解にたどり着くまでに時間がかかる問題が多かったことが,平均点下降の要因として考えられます。特に,大問3の二次方程式の文章題,大問5の一次関数の文章題(ダイヤグラム)など,考え方はなんとなく予想できても,ある程度難易度の高い問題で,やや複雑な計算問題まで練習している経験がなければ,なかなか答えまでたどりつけなかったという人が多かったのではないでしょうか。また,大問2の小問集合の図形問題で時間をとられ,最後まで行きつけなかったという人もいると思います。

次に英語ですが,一昨年から問題構成が一部変わっています。リスニング問題の5点分が,公立高校後期選抜の出題に沿うような形で問題の読み上げが1回のみとなったほか,英問英答問題(6点),英作文問題(8点)と,記述問題の配点が大きくなっています。また,空所補充問題でも「twice」や「ninth」「number」など,基本的でありながらつづりミスが多い単語が出題されるなど,比較的得点しやすいはずのところでつまずいた人も少なくなかったのではないでしょうか。昨年に引き続き,英作文で「not only ~ but also ・・・」の連語を使った出題,並べ替え問題で現在完了進行形の出題が見られるなど,現行の教科書を反映した問題も見られました。近年の傾向として,問題全体での語数が多く,しっかりと「読む」「書く」「聞く」練習ができていなければ,失点につながりやすい出題が目立ち,単語や文法の復習に加え,長文の読み取りや英作文など,より実戦に近い総合問題での練習がどれだけできているかが得点に影響したと言えるでしょう。

残る3教科について,まず社会では,公立高校後期選抜でも見られる「両解問題」が多いこと,さらには,いわゆる一問一答的な知識の暗記だけではなく,それと関連する事項を合わせて問う出題が増えていることが,近年の傾向としてあげられます。これは理科についても同様で,単純に事象の名称を問うだけでなく,その要因や影響を問う出題や,もともと苦手とする人も多い計算を必要とする出題が,物理・化学・生物・地学全分野で見られました。作図問題も4題(選択問題しだいではさらに2題)出題されるなど,全体的にはかなりボリュームがあるように見えますが,問題個々の難易度は数学・英語ほど高くないため,平均点は若干のアップとなっています。最後に国語ですが,昨年に続き漢字の読み書きの出題は3題と,単純な知識を問う出題は減る傾向にあります。これに対し,2点配点以上の記述問題は5題11点,さらに作文問題が1題4点と,割合が大きくなっています。ただ,完全な「○」「×」ではなく,部分点もあり,そこまで難易度が高い問題ばかりではないことが平均点アップという結果に表れているようです。

熊本ゼミナールの推計では,熊本市内で5教科合計200点以上の得点者はおよそ350人で,前年より100人近く増えたと考えられます。

新型コロナウイルスの分類が5類に変更され,やっとコロナ前の学校生活に戻りつつある今ですが,昨年までほぼなかったインフルエンザの流行などで,いまだに学級閉鎖や学年閉鎖となるところも見られる状況が続いています。この3年間,単純な学習時間や受けた授業の内容は同じであっても,問題の演習量や身につけた知識を使って取り組む応用の経験など,気づかないうちに差がついてしまっている部分もあることは否定できません。ただ,だからと言って不安になる必要はありません。大切なことは,今の自分の力をきちんと知ることです。見えないことをあれこれ心配するよりも,まず,今の自分が志望校に対してどのような位置にいるのか,そして,志望校の合格ラインに届くためには,何が課題でどんな勉強をすればそれが改善できるのか,この2つを整理してみましょう。皆さんは,これから受験校を決めるとともに入試に向けた本格的な追い込みに入るわけですが,この2点を整理した上で必要な練習メニューを決め,それを日々一つひとつこなしていく…。そうした取り組みを始めることが,今いちばん大切なことだと思います。

 

受験校選びとこれからの勉強


早い中学校では,11月末からみなさんの進路を決定するための三者面談(教育相談)が行われるわけですが,面談を前にして「第一志望校を受験するか,それとも変更するか」「併願する高校をどこにするか」など,悩んでいる人も多いと思います。特に公立高校の普通科(普通コース)が第一志望である場合,ほとんどの高校では前期選抜がなく,後期選抜1度きりのチャレンジで合否が決まってしまうため,慎重にならざるを得ないというのが正直なところだと思います。

ここでもう一度確認しておきたいことがあります。

①志望校に対して,自分は今どのあたりの位置にいるのか。

②現状の位置は,これまでできる限りの勉強をしたうえでのものなのか。

③志望校に合格するために,これから入試までにどういった課題があり,どういった勉強が必要なのか。

④上記の③の勉強をやり遂げる自信があるか。

まず,①についての答えが「わからない」まま,受験校について悩んでいるのであれば,それは論外です。たとえば,みなさんが友だちと会う約束をしていて,歩いて待ち合わせ場所に向かっているとします。「約束の時間に間に合うかな?」と思ったときに,みなさんはまずどうしますか? 当然,まず時計を見るはずです。そして,今いる場所を考えたうえで,このペースで間に合うかどうかを考えるでしょう。このままでは時間ギリギリになりそうというときには,歩くペースを少し速くしたり,このままでは絶対に間に合わないというときには,走ったりバスに乗ったりするという方法だって考えられます。受験生のみなさんにとって,「志望校に合格すること」が先にあげた友だちとの約束だとすれば,約束の時間は入試の日にあたり,今からどうやって約束の場所まで行くのかが,「これからみなさんがすべき勉強」にあたるのです。①について,ここではみなさんが先日受験した『共通テスト』の点数で見ていきますが,あくまでも1回きりのテスト結果です。ちょっと失敗した,もうちょっと得点できたと,テスト結果に納得がいかないという人もいると思います。今後も受験できる模試などを利用して,常に現時点での自分の力を知っておくことが必要だと覚えておいてください。

 

 高校別合否ライン予想


下の表が,今回の『共通テスト』結果をもとにした,各高校の合否ライン予想になります。

2023年度共通テスト 高校別合格ライン予想点

『共通テスト』での自分の得点と上記の点数との差が,先ほど述べた①の答えであり,それを縮めていくための勉強が③の答えになります。志望校との差が大きかったという人もいるかもしれません。ここで大切になるのは②の答えです。勉強はしているつもりでも,得意教科中心で苦手教科は避けがちで…という人は,もっとメリハリをつけた勉強が必要でしょう。苦手な教科は,毎日1時間ずつ時間をとってでも,苦手単元を一つずつつぶしていく・・・。そうした勉強を取り入れていくことで,もっと得点を伸ばせるかもしれません。また,中3学習内容で苦手なところがあるという人は,模試の結果をもとに同じように振り返ってみてください。これからの3か月ちょっと,毎日毎日,判を押したようにコツコツと練習を積んでいく・・・,地味に思えるかもしれませんが,この「継続」こそが合格への近道なのです。

 

 さあ,いよいよ受験校の決定!


正直に言うと,『共通テスト』の結果で受験校を決めることには抵抗があり,受験校を決めるのには今ひとつ決心がつかないという人もいるでしょう。「簡単にあきらめず,決めた目標に向けて努力する」ということは,これからの皆さんの人生を考えても非常に大切なことです。先ほど述べた①から④のことを踏まえたうえで,第一志望となる受験校を決めなければなりません。しかし,同時に,これからは「併願校」選びも重要になります。公立高校を第一志望とする受験生が多い熊本では,多くの場合,併願校は私立高校ということになります。熊本市内の私立高校では,奨学・専願生の入試が,年明けの1月23日(火)に行われます。そのための出願期間が冬休み明けすぐから始まることを考えると,併願する私立高校は冬休み前に決めておくのが一般的です。併願校を絞り込む際のポイントとしては,「将来の進路(大学進学,就職など)」「通学手段・距離」「合格の可能性」,そして「通学にかかる費用」などがあげられます。将来,国公立大学への進学をめざしているのであれば,大学受験に強い学科やコースをもつ高校,私立大学を含めた進学を考えるのであれば,大学の付属高校や指定校推薦を多くもつ高校が有利でしょう。また,卒業後の就職を考えるのであれば,資格や技術を習得できる学科・コースをもつ高校が候補となるでしょう。みなさんにとって高校は,社会に出ていくための「通過点」であり,「最終目標」ではありません。受験校選びで迷った時こそ,自分の将来を思い描きながら考えてみてはどうでしょうか。

「本当に行きたいのは私立高校だけど,私立はお金がかかるから・・・」と気にする人も少なくないと思います。これについては,私立高校に進学する生徒に対する就学支援金制度が一部変更されています。以前からあった保護者等の年間所得が910万円未満の世帯に対し,月額9,900円の授業料に対する就学支援金を給付するという制度に加え,3年前からは,年間所得が590万円未満の世帯に対する就学支援金が月額33,000円に引き上げられているのです。現在,ほとんどの私立高校の授業料が33,000円前後であるため,先ほどの条件に該当する場合,授業料についてはほぼ無料ということになります。よく「公立高校は授業料がタダ」という声を聞きますが,これは公立高校の授業料が月額9,900円となっていることから言われるものです。実際には,教育振興費や生徒会費,PTA会費などの校納金が発生するため,月額10,000~15,000円程度の費用負担が必要で,これは私立高校も同様です。つまり,公立高校と私立高校でかかる費用が,年間所得が590万円未満の世帯においては,ほぼ変わらないということを意味します。また,この就学支援金制度の改定は,私立の単位制・通信制高校にも適用されています。つまり,受験生の皆さんにとってはそれだけ選択肢が増えていることになり,実際に私立高校に進学する生徒の割合は年々増えてきています。就学支援金制度の改定とあわせ,入学者に対する奨学金制度を変更している私立高校も少なくないので,気になる学校があれば,調べてみると良いでしょう。

⇒私立高校授業料の実質無償化(文部科学省)

 

中3受験生の皆さんにとって,確かに『共通テスト』は受験校を決める上で重要なテストです。しかし,受験する高校に合格するかどうかがここで決まったわけではありません。では,どこで合否が決まるのか・・・ それは,これから入試本番までの皆さんの過ごし方で決まるのです。熊ゼミが共催する『県模試』を含め,12月や1月に実施される模試もあります。結果が良かったからと油断することなく,また,目標にちょっと届いていないからと言ってあきらめることなく,冬休みも含めたこの3か月あまり,まず自分でやれるだけのことを目いっぱいやってみてもいいと思います。最終的に決断するのは,受験する皆さん自身です。悔いのない選択ができるよう努力してみましょう。

 

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